(1)演習問題その2
(前提条件)
●銀行融資の条件として期間15年、金利2%
●税金は税務上利益の40%
●入居率は80%で、固定資産税を含む経費は満室家賃収入の20%
●建物価格は1億円の物件で帳簿額6千万円として25年で償却
(設問)
●実際のキャッシュフローが損益分岐点となる表面利回りを求めよ
(回答)
・1億円の物件をフルローンで投資すると仮定する。ただし、諸経費は無視する。
・期間15年、金利2%では、元金返済は6.7百万円/年、金利返済は1百万円/年(10万円未満四捨五入)。
・減価償却は2.4百万円/年。
・表面利回りをX、税金をYとおくと、以下の方程式が成り立つ
Y={100百万円×X×0.6(空室率20%+経費率20%考慮)-2.4百万円(減価償却)-1百万円(金利)}×0.4——(1)
Y=100百万円×X×0.6-6.7百万円(元金)-1百万円(金利)——-(2)
(解説)
・式(1)の右辺は、税務上の利益に40%を掛けています。
これが税金になります。
・式(2)の右辺は、実際のCF(キャッシュフロー)になります。
損益分岐ですから、実際のCFと税金が同じという条件です。
(1)と(2)を解けば、X=0.176
答えは、17.6%です。
築22~23年前後で、表面利回り12~13%前後の物件はよく見かけます。
市場としても美味しい物件に映るのではないでしょうか?
しかしながら、今回の試算でこの利回りでは、地方銀行の15年ほどの融資期間前提では不十分なことがお分かりですね。
解決策としては、法定耐用年数までの融資期間を見てくれる銀行に持ち込むことです。
銀行の融資担当者との会話で、この当たりは探ることになりますが、一度でも融資を受けている銀行では大概率直に話してくれます。
特に、大規模修繕が実施されていれば、可能性はあります。
とにかく、行け行けの銀行担当者の時に、懇意になって、バンバン長期の融資を引きましょう。
よく、長期融資を引きたがらない方をお見受けしますが、物件が増えてくれば、長い融資も短い融資も混在してきて、バランスが自然と取れるようになりますので、神経質になる心配は無用です。
地方銀行では、RC中古物件に対しては、15年~20年の短い融資期間が一般的ですから、法定耐用年数までの融資が一度でも引けたら、財務諸表も改善されますね。
こちらからコメント送信してください。
コメントはまだありません