融資特約なしの物件に買い付けを入れたことはありますか?
苅田和哉はありませんね、原則そのような物件は検討対象外です。
何故だか、判りますか?
これはなかなか、奥が深いんですね。
次のような失敗事例を聞くと、なるほどと納得しますね。
■失敗事例(フィクション)
女性不動産投資家で、行け行けの方がいました。
この方が、懇意にしている仲介業者に都心部の2億円の物件を紹介されました。
築10年経過の築浅タイル貼りRC、表面利回りは12%でした。
この女性投資家にとっては待ちに待った羨望の物件です。
但し、入札案件でした。
しかも、融資特約は受け付けないという条件です。
女性投資家は、早速付き合いのある地方銀行1行に持ち込んで、融資を依頼しました。
銀行担当者の感触は悪くありませんでした。
入札前までに検討結果を報告するという約束でした。
入札の前日遅くに、銀行担当者から連絡があり、
「融資は支店稟議で内定した、本店稟議もまず間違いない」という電話連絡がきました。
第一関門突破です!
女性投資家は、入札を行いました。
買い付け書には、融資予定の金額を記入し、契約日は入札から1週間後としました。
1番札を引く自信があり、他に取られたくない気持ちが強い状態です。
結果は?
見事1番札をゲットです!
1週間後に契約を済ませ、5%の手付金(1千万円)を支払いました。
その後、物件の詳しい状況も業者にヒヤリングし、物件にも幾度も案内されました。
決済の日を今か今かと待ち望んでいましたが、融資が内定したはずの
地方銀行からは、その後の連絡が何故かありませんでした。
業者と売主にも督促されて、幾度も確認しましたが、銀行担当者の
返答は本店の最終稟議を進めているので、もう少し待って欲しいと繰り返すだけでした。
契約から3週間が経過した後、それは突然の電話でした。
融資が、本店審査で否認されたというものでした。
そうです、融資内定というのは、支店稟議の結果だったのです。
銀行担当者からの電話連絡でも、そのように伝えられていました。
この時に女性投資家は初めてこの意味を理解しました。
既に手遅れです。
この女性投資家は、地方銀行1行しか融資申し込みをしていなかったため、
1ヶ月以内に融資先を見つけることができませんでした。
契約後の1ヶ月以内に決済できない場合は、手付金を放棄する契約でした。
既に契約になっていましたから、1千万円の大損です。
この女性投資家は、泣く泣く1千万円をドブに捨て、二度と立ち上がれませんでした。
噂によると、その後は不動産投資に嫌気がさして、保有物件も安値で売り払ったということです。
■さて、どうすれば良かったか?
賢い皆さんはもうお分かりですね。
まず、この地方銀行の融資内定が本店稟議の結果でないことを理解すべきでした。
本店稟議の正式結果ではありませんから、入札は取りやめるべきだったのです。
次に、万一の場合に備えて、他の銀行にも融資を申し込んでおくべきでした。
不動産投資には大金が動きます。
バックアップは、入念に重ねるのが定石です。
さらに少なくとも、契約日は入札から1ヶ月程度の期間を持たせるべきでした。
万一の場合に備えて、契約日を極力遅らせるということです。
今回の場合、入札後1ヶ月以内に本店稟議がダメだったと判明した訳ですから、
もし契約していないなら1千万円はドブにすてる必要がなかったのです。
売主側は、当然契約を督促してきますが、そこは手付金準備の必要性とか法人決算の時期とか、
いろいろ理由づけし、本当の本店稟議での融資確定まで契約を伸ばすことが常套手段なのです。
当然、本店稟議がNGの場合、契約できないことになり、この仲介業者には今後一切の
出入り禁止になりますが、致し方ないですね。
ということで、融資特約の無い物件への基本対応は、「君子危うきに近寄らず」です。
また、お会いしましょう。
こちらからコメント送信してください。
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